呼び覚ます声

「あ、もしもし?俺だけど。おまえ遅いから先行くわ。いつもの現場で待ってるから」

普段滅多に機能しない、スマホの留守電に残されていたメッセージ。
見たことない色のランプが点滅しているのを見て、いったいどの機能が発動されたのかと悩む。
スマホ持ちになって3ヶ月。全然使いこなせていない。

アイコンで留守電だとわかっても、再生方法がわからない。
着信履歴を見ればわかるかと思い、勢い余って間違えてリダイヤルしてしまったくらいだ。

やっとのことで再生したメッセージ。男の人の声。

・・・わたし、今日誰かと待ち合わせしてたっけ。

思い当たる節がない。さっぱりない。まして男性って。
そんなお誘いはすっかりご無沙汰だ(きっぱり)。

もしかして、あれかしら。
タイムカプセル的な、「何年後の何月何日、お互い独りだったらまたここで会おう」みたいな。

記憶をたどってみても、何も思い出せない。
今日は特別な日?出会った日?別れた日?何かを誓い合った日?

そもそもそんな約束をした人なんて、いただろうか。
だいたいデート先のことを「現場」とか言うような輩と付き合った記憶はない。ムードなさ過ぎ。
しかも遅いから先に行くっておい。わたしが着くまで待っててよ。

みたいなことを3秒くらいの間に考えて、「なんだ間違い電話か」と気がついたわけだが、
心がちょっとどっきりしちゃったのは、その男性の声が頭の中に記憶されているいろんな声の内の一つに
ドンピシャに重なってしまったからだ。

音の記憶、そして匂いの記憶は、時に視覚のそれをはるかに超える。
ザラッと頭の中をなにかに舐められたような、ゾワゾワする感覚。
あんまりいい思い出じゃなさそうなことは確かだ。

ここは親切に「間違ってますよ」と折り返し電話してあげるべきだろうか。
そこからなにか、別の展開が始まっちゃったりなんかして。

みたいなことを考える、とある日のできごと。

コメント

  1. るんるん より:

    1 ■おはよう。
    人生何があるかわからないよ。

    SPEEDのヒトエちゃんだって、人違いから始まった13年愛の末、結婚だもの(笑)

    ただ、現場って…作業員か?
    http://ameblo.jp/mj1958mk2005/

  2. はな より:

    2 ■◎るんるんさん
    そうだよねぇ、なにがあるかわかんないよねぇ(笑)

    ヒトエは人違いから13年も付き合ったのか。すごいな。
    わたしが今から13年とか、もう気が遠くなる…( = =) トオイメ

    なんとなく頭にタオル巻いてつなぎ着てそうな声でした(どんなだ)。
    http://ameblo.jp/flower51/

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