神戸ポートタワー

いつも遠巻きに眺めていた、神戸ポートタワー
初めて上ってみた。

神戸ポートタワー

たかだか108m、東京タワーに比べたら1/3の高さしかないけど、周りが海だからかそれ以上に高く感じる。

あの阪神・淡路大震災の時でさえ、ぴくりともしなかったポートタワー。
この街が再生していくのを、きっとつぶさに見つめていたのだろう。

神戸ポートタワー

閉館間際だったせいか、人もまばらなタワー上層階。
ぐるりと見渡す神戸の夜景は、なんだかちょっと物悲しさすら漂っていた。

別に神戸に住んだことがあるわけじゃない。だけど、好きな街。
震災に遭った友達もいる。昔付き合っていた人も、そんな経験をした1人だった。

どうだったの?どのくらい揺れたの?家は?家族は?友達は?学校は?

聞いてみたいことはいっぱいあったけど、触れてはいけないタブーのような気がして結局何も聞けなかった。

テレビで観る惨状と、実際その場で経験した人との「見え方」は、決して同じではない。
私は電波を発する箱の中に映っている、ただ壊れていく街を「非現実的」なものとしか捉えられなかった。
今のこの現代の日本で、こんなことが起こりうるの?

確かあの日は、高校の同級生たちと屋内スキー場に行ったんだ。
「関西の方で大きな地震があったんだってね」「えっ、そうなの?」「ニュースでやってたよ」
こんなお気楽な会話をしたのを覚えてる。

家に帰ったら、テレビのニュースでは「死者が800人を超えた」、と伝えていた。
その時にやっと、ただごとではないことが起こったんだとはっきりわかった。

神戸ポートタワー

震災の1年後、神戸の街へ初めて行った。
まだ復旧工事は続いていたけれど、街は元の姿を取り戻しつつあった。
そのパワーに圧倒された。そして決して他人事ではないんだということも、同時に気がついた。

興味本位で、彼の記憶をほじくらなくてよかったと、今は心から思う。
話したいことも、話したくないことも、きっと全部話してくれただろうから。

眼下の景色を眺めながら、なぜか涙が出そうになったのは、
そんなセンチメンタルな気分になったからなのかもしれない。

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